老人と森丘

ゲームソフト『モンスターハンター』シリーズのプレイ記録、及び雑記です。

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ラームの本棚

ラームです(ぺこり)

ここ数日は寒い上に風がやや強く、満開の桜が散り始めています。
桜吹雪も大変美しいのではありますが、風の吹くままに散り飛んでいく花びらを見るのは少々切ないですね……。

さて、今回はとある書物の紹介をさせて頂こうと思います。
それは以前の記事でも記しました、自分が子供の頃からずっと付き合っている書物です。




その書物とは、アーネスト・T・シートン氏が記した複数の著作をまとめた『シートン動物記』であります。
大変有名な書物ですし、色んな訳で出版されておりますので読まれた事のある方も多いのではないでしょうか。

シートン動物記というと児童向け文学じゃないか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし自分はこの書物に収められた数々の物語は子供だけではなく、
むしろ様々な経験と年齢を積んだ者の心にこそ、より深く感じるものを与えるのではないかと思っています。
そして自分はまた「ハンター」としても、この物語たちから得るものが大変多くあります。


初めてこの物語たちに触れた頃、自分の関心はもっぱら“表”の主役である動物たちに向いていました。
文章の中で実に生き生きと動き回る動物たちに心を惹き付けられ、その活躍に心を躍らせていたものです。

数年が過ぎて、今度は多くの物語でもう一方の主役である人間たちにも目が向くようになります。
多くの話で、人間たちは動物の敵として描かれています。
自分にとってその頃作中に登場する人間たちは、動物に理不尽な結末を押し付ける憎むべき悪役でありました。
動物たちを罠や銃といった圧倒的な力を用いる事も辞さずに追い詰め、その命を奪う人間。
有名な「狼王ロボ」の一篇などは読むたびに怒りが湧き上がり、自分が同じ人間である事を悲しみました。

さらに数年が過ぎて、いわゆる大人の世界に近付くにつれて作中の人間への見方が少しずつ変わってきます。
確かに擁護するに値しないような人間も作中には多く登場しています。
しかしその一方で狩るべき動物を対等の存在として敬意を払い、
それ故にあらゆる手段を用いてその相手を追い、戦う者がいる事に気がついたのです。
また人間の側にも様々な都合があって「そのような」話になっているのだ、という事も分かるようになってきました。

そしてもう数年。
『モンスターハンター』というゲームに出会い、仮想世界の中とはいえハンターを名乗る者になった自分。
そんな自分に一連の物語たちは実に様々な事を教え、考えさせ、問いかけて来ます。


自然に生きるもの。

自然と人の関わり。

狩猟。

狩人とは何か。


「サンドヒルの雄鹿」という一遍があります。
ある若い狩人が見事な雄鹿に魅せられてその足跡を労苦を重ねて追い続け、
ついに後は銃の引き金を引くだけの所まで追い詰めるものの、雄鹿を狩る事なくその場を立ち去るという話です。


『サンドヒルをかけめぐった日々のヤン(主人公)の楽しみとは、なんだったのか。
 シカの足あとを追う楽しみとは、ただシカに追いつき殺すためだったのか。
 雪のウィルダネスを何ヶ月もの間、休みなく歩いた、孤独な夢の日々は、なんのためだったのか。
 数えきれないほどの輝かしい失敗の後で得た、なんと醜い成功である事か。
 美しく輝き生命力に満ちたこの生き物を、さわりたくもない、ただの死肉のかたまりに変えてしまうのは何故なのか』



作中において狩人は自身の「狩猟」に納得する答えを見出し、銃を下ろしました。

また一方で「クラッグ クートネー峰の牡羊」という一遍には年老いた狩人が登場します。
冷徹非情で執念深く、優れた狩猟の腕を持つ老狩人と険しい雪峰を我が庭の如く駆ける雄々しき牡羊の駆け引き。
両者にとって静かで激しく、また長く苦しい戦いは老狩人が牡羊の狩猟を成功させて終幕となります。
しかし、物語そのものはそこで終わりとはなりません。

老狩人は仕留めた牡羊の首を持ち帰って剥製にした後はすっかり老け込み、まったく狩りに出なくなってしまいます。
高値で売れるであろう剥製には布をかけ、決して誰にも見せようとしません。


『わしとこいつは、まだ戦っているんだ』


そう言いながら雪山の小屋に引きこもる老狩人に、勝者の風情はまったく感じられませんでした。


若き狩人は狩猟の果てに何かを得て、老狩人は何かを失った。

この二篇を読むだけでも自分は色んな事を考えさせられます。
それはどちらの「道」が良かった悪かったという事のみではなく、
(自分はその一事に関しても容易に答えが出ないわけですが……(笑)
二つの狩りの過程や狩人の思考、対象となる動物の生態や動き、物語の結末など多くの事項。
それらが互いに絡み合い、人間であり、また狩人である自分に“在りよう”を問いかけてくるような気がするのです。

そしてそれについて考えを巡らせる事は、
自分が納得するものを求めて狩りをしている自分の狩猟生活にとって大変有意義なものであるように思えます。


少々小難しい方向に話が行きましたが、
ただ単に『モンスターハンター』という世界を覗いた目でこの物語たちを読んでみるのも実に楽しいものです。
興味が湧かれた方は漫画版などもあるようですし、ぜひ一度ご覧になってみてください。
既に読まれた事があるという方でも、
今ならばきっとまた違った感覚で自然と動物、そして人間が織り成す物語を楽しんで頂く事ができると思います。


今回はゲームそのものには関わりの無い話でしたが、お付き合い頂いた皆様には本当にありがとうございました。
この辺りで失礼を致します(ぺこり)

本日もどうぞ、良い狩りを^^
  1. 2009/03/30(月) 18:06:31|
  2. 雑記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

 シートン動物記とファーブル昆虫記を、よく勘違いしてしまいますw 
 シートン動物記はまだ読んだ事がないのですが、かなり考えさせられるものがあるようですね。生物のヒエラルキーにおける頂点とされている人間ですが、実際のところ他の生き物と同じ並びにあるのが本来の姿ではないかと思います。他の生き物に生かされている存在であるべき人間は、自然にも生かされているともいえますよね。
  1. 2009/04/01(水) 12:42:52 |
  2. URL |
  3. Gou #-
  4. [ 編集]

動物記に魅せられて>Gouさん

Gouさん、いらっしゃいませー^^

今回はより思い入れの深い『シートン動物記』の方を紹介させて頂きましたが、
ファーブル氏の『昆虫記』も同様に楽しく読み進める事ができる本です。オススメですよー(笑)

動物記に収められている物語の数々には実に様々な人や動物の在りようが記されており、
そこには人間が自然と上手く付き合っていくためのヒントが数多く散りばめられていると感じます。
人間もまた他の生命と同じく地球環境というシステムの一部であり、
Gouさんの仰る通り他の生き物と同じ並びにある存在であるのでしょう。
その中で特に知恵という諸刃の剣を手にした我々が動物記のような書物から人間の立ち位置を改めて考え、
在りようを模索していくのは有用な事ではないかと思います。

またモンハン脳的な考え方(笑)をするならば動物記の物語に触れて、
厳しい自然の中で日々を過ごす動物達の様子にモンスター達の常の生態を、
あるいは追われる動物と追う狩人の駆け引きにモンスターとハンターの戦いを投影する事は、
ハンターがそれぞれ自分だけの物語を紡いでいくのに大きな助けとなる。そう思っています。

対峙しているレイアは常のそれではなく、奸智に長けた百戦の猛者かもしれない。
目の前を横切って行くケルビは、数々の死地を機転を以て潜り抜けてきた小さな勇者かもしれない。

そう考えるとなんだか楽しくなってきませんか(笑)
(これは多分にソロ向けの楽しみ方ではありますが……w)

「人間」に、そして「ハンター」に。
本文の繰り返しになってしまいますが、シートン動物記は本当に様々な事を示してくれる書物だと思います。
もし機会がありましたら、ぜひご一読されてみてください^^
  1. 2009/04/03(金) 14:34:57 |
  2. URL |
  3. ラーム #UzUN//t6
  4. [ 編集]

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 「村を覆う翼、炎を内に隠す」
 「銃光鋭く撃ちだす浪漫」
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 「未知を歩む森人、道を示す狩人」
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